動画でOasis の Don’t Look Back In Angerの和訳と解説をしてみました!
Don’t Look Back In Anger Lyrics 歌詞・和訳
Don’t Look Back In Anger 解説
Don’t Look Back In Angerとマンチェスターのテロ事件
2017年イギリスのマンチェスターに22人が死んだイスラム国によるテロ事件がありました。
その数日後犠牲者を追悼する集まりがマンチェスターにあって、あそこにいた一人の女性がオアシスのDon’t Look Back In Angerを歌い出しました。そこで集まっている人たちが自然発生的に一緒に歌い始めて、即興的な合唱となりました。
ちなみにノエル・ギャラガーがその生放送を見てました。
それから、イギリスをはじめ、ヨーロッパに渡り、世界中この事件を追悼曲として歌われるようになりました。
それだけDon’t Look Back In Angerという曲が多くの人に知られ、愛され、力を持っています。
Don’t Look Back In Anger歌詞解説
まず言っておくけど、僕はそれほどオアシスのファンではないです。
90年代、オアシスファンとブラー ファンが別れていて互いにライバル意識を持っていたんです。
というか、オアシスとブラー程ライベル意識が高いバンドってあるでしょうか。ビートルズとストーンズぐらいですか。
まあ、僕はどちらかというとブラーよりでしたね。
でも、みんなさんにいただいたユーチューブのコメントには「オアシスをやってほしい」というコメントが一番多かったからオアシスをやります。
Don’t Look Back In Angerは多くの人に愛され、メロディーがきれいではっきりして名曲です。が、歌詞はどうなんでしょう。僕からしたらかなり適当に作られていると思います。
言葉の響きがいいとは思いますが、まとまっているかというとそうでもないんですね。
まあ、歌の歌詞というのはまとまらないといけないというわけでもないんですがこの歌詞、だれの人物が誰に対して何を言っているかは分かりにくいです。どうやら、愛人が別れる歌というのは大体伝わりますが、細かいことはわかりにくいです。
その分訳すのも難しいです。特に女が男に対して話しているか、男が女に対して歌っているかは分からないと訳しにくいです。
ちょっとこの歌の作成について調べてみると一発で出来た曲ではないのです。まずノエルがあるパリでのライブを終えた曲の基本的なところが出来た。その時かれはラリっていたという説もあります。それから何週間かけて、彼がいろんなところで聞いた言葉を取り入れたりして歌を作りました。
でも、歌詞の細かいところがまとまっているかどうかはあまり大切じゃないです。サビの最後に出てくる「Don’t Look Back In Anger」という一行の素敵なメッセージが曲の雰囲気と密接にマッチして、それだけで充分です。
「Don’t Look Back In Anger」「でも、怒りながら振り返らないでくれ」という素敵な言葉が何となく賢明で知恵があるように聞こえます。この言葉とこの音楽を聞いただけで寛大で度量が大きい気持ちが伝わります。
歌というのは結局素敵な一行の歌詞と格好いい音楽で何とかなるということですね。
Don’t Look Back In Anger タイトルの意味
「Don’t Look Back In Anger」という題名の訳し方「悪い思い出にしないで」「怒りに変えちゃいけない」「過ぎたことでカッとなるな」「でも過ぎたことに怒らないで」色々ありましたが僕は「怒りながら振り返らないで」という風にかなり直接に訳しました。
歌詞の細かい解説
それでは歌詞を一つ一つ見ていきましょう。
歌が始まる前にイントロで僕が解説した「イマジン」と非常に似ているコードがあります。ということはその曲を意識しながら作っているのが窺えます。サビのちょっと前にジョンレノンから引用されている言葉も出て来ます。
Slip inside the eye of your mind
心の瞳に滑り込んでみな
Don’t you know you might find
見つかるって知ってるだろう
A better place to play
もっといい遊び場が
なんと詩的な始まり方ですね。90年代っぽいながら60年代のビートルズの「Lucy In The Sky With Diamonds」「Magical Mystery Tour」のサイケ調の感じを意識してそうですね。これはだれかとの会話で他人に喋っている感じでもないんですね。
You said that you’d once never been
一度も行ったことないと君は言ってた
But all the things that you’ve seen
でも見てきたものはすべて
Will slowly fade away
ゆっくりと消えてくだろう
いきなり一番の途中からだれかが誰かに対して喋っている感じになります。
この「You said that you’d once never been 一度も行ったことないと君は言ってた」は一体どこの話しをしているでしょうか。しかも文法的にちょっとまともではないんです。
「Once」の置き方が不思議です。
Once, you said that you’d never been
以前一度,行ったことないと君は言ってた
という意味になります。
You said that you’d never been
行ったことないと君は言ってた
「Never Been」は「行ったことない」という意味になりますから、普段日本語みたいに「一度も行ったことない」わざわざ「Once」を入れる必要がないです。むしろ入れると変です。
しかも入れるとしたら「Never once been」という順番が自然に聞こえます。
ということはここもちょっと前の一節と同じようにちょっと抽象的に言葉で遊んでいるところがあります。
そもそも「You said that you’d once never been」の後に「to somewhere」「どこかに」がないのが結構不思議に聞こえます。
But all the things that you’ve seen
でも見てきたものはすべて
Will slowly fade away
ゆっくりと消えてくだろう
この一節で曲核心に近づきます。「でも見てきたものはすべてゆっくりと消えてくだろう」という遠くから見ている、振り返っている感じが出てきます。
So I’ll start the revolution from my bed
革命はベッドから始めるんだ
Cos you said the brains I had went to my head
お前が俺は賢いと天狗になってるって言った
さっきこの曲はジョン・レノンのイマジンを意識していると言いました。この2行は完全にジョンの言った言葉をそのまま歌詞に取り入れています。
ジョンは死ぬ前に自分の人生を語った自伝を心掛けていました。テープに自分の人生についていろいろと話して録音していました。その録音したテープをノエルが聞いて自分に響いたこの2行を歌に入れました。
So I’ll start the revolution from my bed
革命はベッドから始めるんだ
これはジョンとようこが60年代やっていた世界平和のためのBed-inの話ですね。2回に渡って「2週間ほどベッドから出ない」という抗議活動ということですね。「暴力」ではなく「平和的な手段」を使って革命を起こすということです。
Cos you said the brains I had went to my head
お前が俺は賢いと天狗になってるって言った
「Went to my head」というのはよく使われる慣用句で「うぬぼれる」という意味です。
このジョンが言ったことはBrainsとHeadを対照しています。直訳すると
「僕の脳が頭に入ったとあなたは行った」になります。理解ができる日本語「お前が俺は賢くであるとうぬぼれてるって言った」に訳すとその面白さがなくなるのは翻訳の痛くて残念なところですね。
これでまったく関係のない文章を引用して取り入れたせいでもはやだれがだれに何について話しているかわからなくなってきます。次はこういう風に続きます:
Step outside the summertime’s in bloom
そとは夏真っ盛りだから出掛けよう
これはだらが誰に向かっていっているかは言いにくいです!
Stand up beside the fireplace
暖炉のそばにたって
Take that look from off your face
そんな顔してないで
この部分はまたノエルしか分からない「うちだけのネタ」になります。
ノエルの子供のころギャラガー家では写真を撮るときよく暖炉のそばでとるのが定番だったらしいです。子供はやっぱり写真になると変顔したくなりますね。周りの大人は何と言いますか。そうです。「Take that look from off your face そんな顔してないで」のようなことを言いますね。
この曲では「何があっても記念写真を撮っているようにいい顔にしていなさい」という風に解釈が出来ると思います。
こういうのはちょっとイギリス人っぽいと思います。イギリス人は「どんな嫌なことがあっても顔に出さないで進みなさい」という心構えで有名です。”Stiff upper lip”という言い回しがあって「何があっても上の唇を固くしましょう」という変な慣用句があります。
イギリスの戦時中の有名なスローガンとして「Keep calm and carry on」「落ち着いて続けなさい」という言葉もあります。
You ain’t ever gonna burn my heart out
俺の心を燃やし尽くすことはないから
この1行を間違った意味翻訳しているところがありました。「貴方は僕に永遠に治らない傷なんかつけられないよ」という「負けないぞ」という意味の言葉を「ハートは燃える」という風にいい意味で誤解して訳しているところが多かったのです。
そして盛り上がりのサビに入ります:
So Sally can wait
サリーは待ってくれればいい
サリーというのはだれだかとノエル本人がいいます。兄弟のリアムと二人でインタビューではリアムがこの曲の一番盛り上がるところの一行を提案したらしいです。サウンドチェックでノエルがこの新曲・まだ作りかけている曲を歌っている時にリアムが「そこで何歌っていたの?So Sally can waitって歌っていたの?」と問い掛けたらしいです。それに対してノエルが「いや違うことを歌っていたけどその歌詞の方がいいからそれにしましょう」と言ってこの歌詞になったそうです。
かなり適当ですね。
「So Sally can wait サリーは待ってくれればいい」を言っている人物はだれだかはハッキリしていません。
続いて
she knows it’s too late
もう手遅れだって彼女には分かっている、
これも三人称で書いていますが
As we’re walking on by
俺たちが通り過ぎていく時には
ここで出てくる「We僕たち」ってだれでしょう。一人称になりました。ということは彼女を見ているのは第三者の二人組でしょうか。分かりにくいですね。
Her soul slides away
彼女の魂は離れてく
but don’t look back in anger
でも、怒りながら振り返らないでくれ
ここまではいいですが最後に出てくる:
I heard you say
って貴方も言ってた
で更に混乱を招きます。ここでいう「貴方」はだれでしょう?第三者の彼女を見ている第一者の二人組の男でしょうか。見られている彼女うが言ったでしょうか。めちゃくちゃですね。
でも前の方で言ったように、こういう話しはどうでもいいです。細かく解けようとしてもまでですが大雑把なメッセージは心にぐっときます。「何があっても怒りながら振り返らないで」というメッセージです。それがあって世界征服を果たした曲です。
それでサビが終わって2番が始まります:
Take me to the place where you go
お前の行く場所へ連れて行ってくれよ
Where nobody knows if it’s night or day
昼か夜か誰も知らない場所へ
クラブとか、室内のライブ会場などを思い浮かべられます。
But please don’t put your life in the hands
Of a Rock ‘n’ Roll band
でも人生をロックンロールバンドなんかに
委ねないでくれ
Who’ll throw it all away
全て投げ捨てちまうような奴らには
結局オアシス自己言及的に「うちらみたいなしょうもない奴らと関わらない方がいいですよ」と言っているようなもんですね。
オアシスのキャリアを考えたらある意味で実際に全てを投げ捨ててしまったと言えるかもしれません。
それはどうであれ、この曲のように長く広く響き渡る曲をいくつか私達に残してくれています。