パール・ジャムの「アライブ」はグランジを代表する大変盛り上がる曲です。しかしあまり知られていないのですが、この盛り上がりとは裏腹に実は非常に暗い内容が詰まっています。ライブでは多くのファンは「I’m alive!」「俺は生きている!」と勢いよく叫びます。
それはそれでいいのですが、この歌詞を書いたエディ・ヴェダー本人が言うにはこのサビの一行は「呪い」のようなものだそうです。
アライブ歌詞和訳
Son she said
息子よと彼女が言った
Have I got a little story for you
あなたにちょっと話があるの
What you thought was your daddy
あなたが父さんだと思っていた人は、
Was nothin’ but a
実はただの…。
While you were sittin’
あなたが座っていたとき、
Home alone at age thirteen
13歳のあなたが、一人で留守番をしていた時
Your real father was dyin’
貴方の本当のお父さんは死にかけていた
Sorry you didn’t see him
会えなかったのは残念だった
But I’m glad we talked,
でもこの話が出来てよかった
Oh I, oh, I’m still alive
俺はまだ生きている
Hey, hey, I, oh, I’m still alive
俺はまだ生きている
Hey I, oh, I’m still alive
俺はまだ生きている
Oh she walks slowly
彼女はゆっくりと
Across a young man’s room
若い男の部屋を歩き
She said I’m ready, for you
彼女は言った「もう準備出来ているわ、貴方のために」
I can’t remember anything
俺は何も思い出せない
To this very day
今日のこの日まで
‘Cept the look, yeah the look
その様子以外は
Oh, you know where
どこの様子かは知っているだろう
Now I can’t see,
もう見えなくなっている
I just stare
ぼうっと眺めているだけだ
I, I, I’m still alive
Yeah, yeah I, oh, I’m still alive
Yeah, yeah I, oh, I’m still alive
Yeah, yeah I, oh, I’m still alive
Is something wrong
どこか具合悪いの?
She said
と彼女が言った
Of course there is
当たり前だ
You’re still alive
お前がまだ生きているんだから
She said
彼女が言った
Oh do I deserve to be?
私に生きてる価値はあるのかしら?
And is that the question? Oh
それが質問か?
And if so, if so
そうだとしたら
Who answers?
誰が答えるんだよ?
Who answers?
誰が答えるんだよ?
I, I, I’m still alive
Yeah, yeah I, oh, I’m still alive
I’m still alive
アライブ解説
パール・ジャムの「アライブ」はグランジを代表する大変盛り上がる曲です。しかしあまり知られていないのですが、この盛り上がりとは裏腹に実は非常に暗い内容が詰まっています。ライブでは多くのファンは「I’m alive!」「俺は生きている!」と勢いよく叫びます。
それはそれでいいのですが、この歌詞を書いたエディ・ヴェダー本人が言うにはこのサビの一行は「呪い」のようなものだそうです。
「俺は生きている」がなぜ「呪われている」ということになるのでしょうか。
その真意に迫っていきたいと思います。
エディ・ヴェダーの人生
この一行を理解するにはエディ・ヴェダーの人生の話から始める必要があります。エディは10代まで義父が実の父親だと思っていました。エディはエディ・ヴェダーではなくエディ・ミュラーでした。しかし10代半ばにエディの母とエディの義父が離婚し、離婚した後母は、実は義父はエディの本当の父親ではないとエディに伝えました。またその時点では悲惨なことにエディの実の父はもう他界していました。昔エディが実の父を「家族の友達」として紹介され、簡単な挨拶を交わしたことがありましたが、残念ながらエディは実の父と「親子」関係を持つことはありませんでした。
この真実を聞かされた10代の少年エディにとってこれほどショックな話はあるでしょうか。
その深い衝撃的な気持ちがその10年以上後に作られた「アライブ」という歌の歌詞の中に秘められています。
「アライブ」はヴェダーが自分の父親のことを知った瞬間を描いています。
歌詞は実話と架空の話を折り混ぜて作られていますが、核心的なところは実話の実際にエディに起こった話です。
「お母さん」と「息子」の対話の形式になっています。
最初の方はお母さんが下記のようにエディに話しかけます。
Son she said
息子よと彼女が言った
Have I got a little story for you
あなたにちょっと話があるの
What you thought was your daddy
あなたが父さんだと思っていた人は、
Was nothin’ but a
実はただの…。
While you were sittin’
あなたが座っていたとき、
Home alone at age thirteen
13歳のあなたが、一人で留守番をしていた時
Your real father was dyin’
貴方の本当のお父さんは死にかけていた
Sorry you didn’t see him
会えなかったのは残念だった
But I’m glad we talked,
でもこの話が出来てよかった
非常にあっさりした口調ですね。後から10代のヴェダーが「こういう風な話していたよ」という立場から語れられているのが伝わります。
皮肉に満ちた歌詞になっていますね。
Sorry you didn’t see him
会えなかったのは残念だった
But I’m glad we talked,
でもこの話が出来てよかった
この部分は、どこかの楽しい集まりでちょっと会いたかった友達に会えなかったかのように聞こえてくる言い方ですね。
「I’m still alive」の意味
その後サビが出てきます。
「I’m still alive」
最初はこの一行は誰が言っているのか分かりにくいですね。今まで「お母さん」がずっと話してきたため、初めは僕もこの曲を聞いて、ここでいう「I’m still alive」はお母さんのセリフだと思っていました。
「あなたの本当のお父さんに会える前に彼が死んでしまって残念だったけど私はまだ生きているよ」という意味で。
でもヴェダーのインタビューや話を聞く限り「I’m still alive」は自分の立場から歌っているようです。
ただ、喜んだりホッとしたりして「でも俺はまだ生きている」ということではなくて、「俺はこれからも生きていかないといけないのか」という半ば悔しい気持ちが込められています。
これこそ「グランジ」らしいですよね。10代でよく見られる自己中心的な感じで「俺は何でこんなひどい目に合わないといけないのか。」「なぜこんな俺だけが生きていかないといけないのか」と叫んでいます。
「生きる」の呪いは解けた
つまりここが「生きる」=「呪われる」という発想ですね。
この歌の迫力の原点はここにあるでしょう。
しかしながら、面白いことにファンの誰もがこの「俺は生きている」の部分を気合い入れて力強い感じで歌います。
また、もっと面白いのは、ヴェダー曰く、ファンの皆がこういう風に歌うことによって「呪いは解けた」と言っていることです。ファンのお陰でヴェダー本人もそういう風に歌えるようになったそうです。
歌の解釈がそれだけ歌を作る人に影響するということですね。
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こんにちは。ピータージョセフヘッドです~。4年間京都市立芸大の大学院として日本に住み、6回日本で音楽ツアーをし、Majikick Recordsから自分の音楽のレコードを出しています~。
大分昔、日本語能力試験で1級を取得しました。
日本好き、音楽好きオーストラリア人です。よろしくお願いします。