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ザ・バンド/ザ・ウエイト意味と歌詞和訳

https://www.youtube.com/watch?v=phmKDyiEGBM

音楽は魔法です。現実に存在する魔法だと僕は思っています。

一つの究極な例としてはThe BandのThe Weightを挙げれると思います。

これほど神秘的で不思議な力がある曲はあるでしょうか。

今日はその謎に満ちた歌の歌詞の意味について話したいと思います。

The Weightの概要

まずこの歌の軸になっている、核心的意味を言い切るのはすごく困難だと思います。

大雑把に言えば「自分の重荷を捨てて楽にしましょう」という意味だと思います。

「The Weight」「その重み」というタイトルもその真意を案じているでしょう。

その「重み」というのはどういうものか後で考えて行きたいと思います。

The Weightの固有名詞

この歌で何が印象的かと言うと、固有名詞がやたら多いということです。

名前、地名などなどどんどん出てきます。

しかもその名前、地名は聖書に因んだものがほとんどです。

聖書との関わり

ナザレ

まず第一行に出てくるナザレです。

世界中でイエスキリストが生まれたとして知られている町の名前ですね。

「この歌の主人公がイエスかよ」と思わせるような歌詞の出だし。

でも実はアメリカにもナザレという街があります。

Pennsylvania州にある6000人余りが住むような小さな街です。

ちなみにその街のあたりにはBethlehem、 Emmaus、 Egypt、など旧聖書から引用した町の名前が多いです。

それでアメリカのナザレという街は何が有名かというと、「Martin」という世界中で知られているギターメーカーが本部をおいていることで知られています。

この曲は、実はそこから始まっているのです。

この歌を作詞作曲したロビー・ロバートソンは、この曲を作る際にどうもインスピレーションが湧かなくて困っていた時にふと自分のギターの穴の中を見て、Martin, Nazareth, Pennyslvania が書いてあったのを見て歌詞が浮かんできたということです。

歌に出てくる名前

歌に出てくる人の名前も聖書から来ているものが多いです。

たとえば「ルカ」。「ルカ」は使徒の一人ですね。

そして「アンナ」はそのルカの福音書の中に登場します。

「The Devil」も出てきます。

「Devil」は大体「悪夢」として訳しますが「the」がついているから固有名詞になります。その辺の特定されていない「悪魔」ではなく特定された「サタン」のことです。

ルイスブニュエルの映画との関わり

そこでもう一つこの歌の原点が出てきます。ロバートソンは映画監督のルイス・ブニュエルのシュールに満ちた映画が好きでした。ロバートソンがギターに書いてあった「ナザレ」を見た時ブニュエルの映画の「ナザリン」を思い出したようです。The Weightの歌詞はその映画と大きく結びついていると言っても過言ではないだと思います。

この映画の主人公が「ナザリオ」という名前で常に善い行いを心がける神父さんです。けどどれだけ頑張っても、良いことをしようとしても、悪い結果しか出ません。キリスト教の一つの基本にしている「善い行い」の意味をを問い掛ける映画です。「善い行い」の無理さを指摘映画です。

「善い行い」の無理

この歌も同じ質問をしていると言ってもいいと思います。ロバートソン本人がいうには

「I just knew I wanted characters to unload their burdens on the song’s main character in each verse.」

「各節で歌に出てくる人物が主人公に重荷をもってもらおうとする歌にしようと思っていました」

「The Weight」の意味

歌詞の本体にまったく出て来ない「The Weight」というタイトルはいろんな解釈が出来ると思いますが「善い行いをしないといけない」とそれについてくる「無理さ」「不可能な期待」という「重荷」という解釈が一番妥当とは僕が思います。

人生はいろんな「こういう風にしたつもり、でも上手く行かなかった、どうしても上手く行かない」があります。それは「The Weight」だと思います。この歌に出てくる主人公は英雄になろうとしています。いろんな人の頼み事を聞いて助けあげようとしています。けど思った通りに上手く行きません。

「その重みを少しでも降ろしてもどうだ」というメッセージの歌でしょう。

歌詞は映画のようだ

歌詞の構成も実験映画に影響されています。各節が一つの「場面」になっています。まさに編集されたフィルムのようです。どれもシュールな雰囲気が漂います。どれも「場所」と「人物」が出てきます。

またロバートソンがいうには

「 The guy in my song starts by asking the first person he sees in Nazareth about a place to stay the night, a biblical concept.」

「この歌のやつは、ナザレで最初に会った人に、聖書な概念と似たように、夜を過ごす場所について尋ねることから始めます」

映画・聖書・道徳全般がすべて関わってきます。

「The Weight」と宗教の関わり

さあ、これは宗教的な歌ですか。

言うほど宗教的な意味合いはないと思います。どっちかというと宗教の神秘的さとか不思議な「雰囲気」を作り出すために使っていると思います。「ナザレ」を場所、話の設定にするとなんとなく幻想的感じにもなります。中々作詞家として面白い手段だ思います。

でもこの歌に出て来る人の名前は聖書に由来していると言ってもどれも極普通にある名前でもあります。どれも実際に存在する人物に基づいている。

実際に存在する人物の名前

まずサビのところに一杯出てくる「ファニー」です。ニューヨークにあるインテリがよく集まったりした本屋さんを営むFrances “Fanny” Steloffから来ているらしいです。

ロバートソンがその店に行ってブルニュル監督の映画の脚本を見つけて勉強したそうです。

だから、その店の持ち主Fannyの名前を入れるのはおかしくないですね。

サビでは主人公がファニーに向かって話しています。

Take a load off Fanny, 

座って楽にしようぜ、ファニー

take a load for free 

ただで座れ

Take a load off Fanny, 

心の重荷を降ろせよ、ファニー

and you put the load right on me 

その重荷を俺にかけてくれ

この「Take a load off」はいろんな意味と解釈があります。一番普通に日常会話で使われている意味として「座りなさい」です。でも、直訳すれば「重みを降ろしなさい」に近い意味になります。即ち「楽にして」という意味にもなります。

それにもっと精神に関しての慣用句には「Take a load off my mind」「心の重荷を降ろす」という意味でよく「安心しました」という意味でもよく使われます。

主人公がふ「ファニー」という人物に対してこれを言っているから、ロバートソンはこの主人公がファニーステロフに対してこのセリフを言うのを想像しなら言ったでしょうか。

「ファニー、みんなのためにそんなに頑張らなくてもいいよ、俺にその主にをおろしなさい」という感じで。

個人的な意味で「あなたのお陰でブニュエル監督のこと、それによって善い行いの無理さのこと俺が知ったから、今度は俺が貴方の重荷をもってあげる」という気持ちも入っているじゃないか僕が思います。

因みに「ファニー」という言葉に俗っぽい使い方で「お尻」とか「女性器」の意味もあります。この歌詞はそういうのと関係していると主張する人がいますが、それで使っているととても考えにくいと僕は思います。

他の名前

ルカは元々The Bandの原型であるThe Hawksのもともとのギターリストです。

Anna Leeは昔の友達です。

Crazy Chesterはロバートサンが元住んでいた街の拳銃好きな警察官のことです。

皆はこの歌を作った人と親近感がある人物ばかりです。

こういう風にシュールな、非現実的な、幻のような、夢のような世界に自分にとって何かの深い意味を持つ実際の人物がでて来るのは面白いと思いませんか。

さあ、歌詞を一つ一つ見ていきましょう。


ザ・バンド/ザ・ウエイト

I pulled into Nazareth, was feeling ’bout half past dead 

ナザレにたどり着いて、半分死にかけの気分だ

I just need some place where I can lay my head 

ちょっとばかり横になれる場所が欲しい

Hey, mister, can you tell me, where a man might find a bed? 

「おい、旦那、どこに行きゃ眠れるんだ、教えてくれよ」

He just grinned and shook my hand, 

そいつはニヤッと笑って俺の手を握り

“No” was all he said.

「いや」とだけ言ったんだ

Take a load off Fanny, 

座って楽にしようぜ、ファニー

take a load for free 

ただで座れ

Take a load off Fanny, 

心の重荷を降ろせよ、ファニー

and you put the load right on me 

その重荷を俺にかけてくれ

I picked up my bags, I went looking for a place to hide 

俺は荷物をを手に取り、身を隠す場所を探しに出た

When I saw old Carmen and the Devil, walking side by side

カルメンとサタン(悪魔)が、並んで歩いてるのが見えた時

I said, “Hey, Carmen, c’mon, let’s go downtown” 

俺は言った「おい、カルメン、町へ行こうぜ」

She said, “I gotta go, but my friend can stick around” 

彼女は言った「私は行かなきゃ。でも友達は暇だよ」

Take a load off Fanny, 

座って楽にしようぜ、ファニー

take a load for free 

ただで座れ

Take a load off Fanny, 

心の重荷を降ろせよ、ファニー

and you put the load right on me 

その重荷を俺にかけてくれ

Go down, Miss Moses, 

やめときな、モーゼ女史さんよ

ain’t nothin’ you can say 

あんたがかけてやれる言葉はないんだ

It’s just old Luke, and Luke’s waiting on the judgement day 

あれはルカ爺さんだけだルークは最後の審判を待っているんだ

Well (Hey), Luke, my friend, what about young Annalee 

「ほらルーク、俺の友よ、アナリーはどうなんだ?」

He said, “Do me a favor, son, won’t you stay and keep Annalee company” 

ルークは言った。「坊や、どうかアナリーのそばにいてやってくれないか」

Take a load off Fanny, 

座って楽にしようぜ、ファニー

take a load for free 

ただで座れ

Take a load off Fanny, 

心の重荷を降ろせよ、ファニー

and you put the load right on me 

その重荷を俺にかけてくれ

Crazy Chester followed me, 

気ちがいチェスターが追っかけてきて

and he caught me in the fog 

霧のなかで俺を捕まえた

Said, “I will fix your rack, if you’ll take Jack, my dog” 

やつはこう言う。「ぶちのめしてやるからな、俺の犬のジャックを連れて行ったら」

I said, “Wait a minute Chester, you know, I’m a peaceful man” 

俺は言った「ちょっと待てチェスター。俺は平和主義者だぞ」

He said, “That’s okay, boy, won’t you feed him when you can” 

彼は言った「いいんだ坊や。暇なときに餌をやってくれないか」

Take a load off Fanny, 

座って楽にしようぜ、ファニー

take a load for free 

ただで座れ

Take a load off Fanny, 

心の重荷を降ろせよ、ファニー

and you put the load right on me 

その重荷を俺にかけてくれ

Catch the cannonball, now to take me down the line 

キャノンボール列車に乗り、向こうまで連れてっててくれよ

My bag is sinking low, 

カバンは重く沈み込み 

and I do believe it’s time

もう時間だな

To get back to Miss Fanny, 

ファニーのところへ戻る時だ

you know she’s the only one 

わかるだろ彼女しかいないんだ

Who sent me here, with her regards for everyone 

俺をここへ送り出したのは。みんなによろしくと言って

Take a load off Fanny, 

座って楽にしようぜ、ファニー

take a load for free 

ただで座れ

Take a load off Fanny, 

心の重荷を降ろせよ、ファニー

and you put the load right on me 

その重荷を俺にかけてくれ

Peter Head

I’m Peter Head. I lived in Japan for four years as a student at Kyoto City University of the Arts doing a Masters Degree, have toured the country six times playing music and speak Japanese (JLPT N1). I’ve written songs in Japanese and have released several albums through Tokyo label Majikick Records.

ピーターヘッドです。4年間京都市立芸大の大学院として日本に住み、6回日本で音楽ツアーをし、日本語能力試験で1級を取得しました。要するに日本好きです。

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