この記事でビートルズの名曲 アデイインザライフ (A day in the life) を和訳 して、歌詞、意味を徹底的に調べます。
A deep dive into the lyrics and meaning to The Beatles’ much-lauded song A Day In The Life. Spoken in Japanese.
A day in the life 和訳
I read the news today, oh boy
今日、 ニュースを読んだよ、まじで(アチャー)
About a lucky man who made the grade
出世した、幸運な男の記事さ
And though the news was rather sad
やや悲しい記事だったけれど
Well, I just had to laugh
僕には笑わずにはいられなかったよ
I saw the photograph
その写真見てさ
He blew his mind out in a car
彼は自分の脳を破裂させてしまった
He didn’t notice that the lights had changed
信号が変わったことに気付かなかった
A crowd of people stood and stared
群衆は立ち尽くし見つめていた
They’d seen his face before
皆、彼の顔に見覚えはあったけど
Nobody was really sure if he was from the House of Lords
誰も彼が上院議員だったかどうかはっきりと覚えていなかった
I saw a film today, oh boy
今日、映画を観たんだ、まじで(アチャー)
The English Army had just won the war
英国軍が戦争に勝ったところだった
A crowd of people turned away
群衆が目をそらしたけど
But I just had to look
僕は見ずにいられなかった
Having read the book
原作読んでたからね
I’d love to turn you on
君を目覚めさせたいよ
Woke up, fell out of bed
目が覚めて、ベッドから転がり落ちて
Dragged a comb across my head
髪に櫛を通して
Found my way downstairs and drank a cup
よろよろ階段を降りて カップ一杯飲み
And looking up, I noticed I was late
見上げると、遅刻していることに気づく
Found my coat and grabbed my hat
コートを見つけて、帽子をつかみ
Made the bus in seconds flat
数秒でバスに乗りこんで
Found my way upstairs and had a smoke
よろよろ2階に上がって 一服した
And somebody spoke and I went into a dream
誰かが喋りだして そして僕は夢の中へ
I read the news today, oh boy
今日、 ニュースを読んだよ、まじで(アチャー)
Four thousand holes in Blackburn, Lancashire
ランカシャー州のブラックバーンに4000個の穴
And though the holes were rather small
その穴はやや小さかったのに
They had to count them all
彼らは全部の穴を数えないといけなかった
Now they know how many holes it takes to fill the Albert Hall
それで彼らはアルバートホールを埋めるには、どれだけの穴が必要か、が分かった
I’d love to turn you on
君を目覚めさせたいよ
アデイインザライフ
今日はロック歴史史上一番すごい曲とよく言われているビートルズのA Day In The Lifeの歌詞を分析したいと思います。この歌の歌詞を見てみるとジョンレノンの皮肉的なヒューモアとかふざけた、不遜な世界観、慣例無視した性質 がよくわかるようになります。それと逆に彼の人道的で同情的普遍的な人間への愛も伝わると思います。要するに彼の複雑な性格が表れる歌詞になると思います。
あとポールの書いた合間の部分でイギリス人の日常的な生活を鮮明に描いてくれていると思います。色んな面でちょっと勉強する価値はある歌詞だと思います。
まず構成をみてみると5段となっています。で特徴として歌詞の内容はバラバラであることです。
ほとんどまとまりがないです。だから、皆がこの曲は名曲の中の名曲とか、史上最高の歌だとかとよく言われるけど、適当に関係ない話しを軽い感じで合わしているところもあります。単純に歌詞だけを見たら面白い、興味深いだと思いますが、「大傑作」と思わないです。
何でこういう風になったかというとジョンレノンが朝新聞を読みながら作った歌だからです。
ある朝新聞が届いて、それをピアノにおいてピアノを弾きながら目に入ったいくつかの話題を歌に取り入れた。
で、さらに同じ日の昼にポールが来て、ジョンの作りかけた歌にポールが既に作ってあった曲をA Day In The Lifeの真ん中に放り投げました。
だから、すごく面白くて、興味深い歌だと思いますが、バラバラと言えば、バラバラですね。
で構成で異常なところがあります。普通の歌の構成というのは4段構成でAABAなんです。世の中の歌は95%はそうなっています。「何々」があって「その何々」を繰り返して、「違う何か」あって、「元々の何か」が戻ってくるというは基本ですね。ところでa day in the lifeではAAABAになっています。最初来るAが一つ多いです。やっぱりこの曲の前半を聞いて少し違和感が感じます。ちょっと長いなという感じ。じゃ何でAが1つ多いかを考えると、これは僕の勝手な意見ですけど、ジョンは多分元々ちゃんと普通の4段構成の歌詞を作ってあって後からポールがまったく違う曲の部分を持ってきて、多分ジョンは元々の歌詞を犠牲にしたくなくて全部使ったではないかと思います。
歌詞の内容の全体の流れを見ていきますと
1段と 2段は新聞記事に出てきた「人が交通事故で死んだ」話
3段は だれかが映画を見た話
4段(ポール作)誰か出かける準備と実際に出掛ける話し
5段 聞記事に出てきた 「道路のくぼみ」についての話し
そういう風に纏めて書いてみると結構訳が分からない歌詞と思いませんか。特に普通は「道路のくぼみ」についての新聞記事なんか歌に入れないでしょう。
それでこの歌のタイトルと構成を考えたら、題名がA Day In The Life「人生・生活の中の一日」で、人間の毎日が見事に訳が分からない組み合わせで出来ていることを上手に描いていると思います。人が死んだり、戦争が出てくる映画を見たり、日常業務を済ましたり、どうでもいい官僚的な手続きがあったりして成り立つのです。他のジョンの有名な歌詞で「Life is what happens when you’re busy making other plans」「人生とは他の予定を立てている内に起こるものだ」という世界観が思い出します。
そう考えたらこの歌詞は上手に人生の訳が分からなさを表していると言えるかもしれないです。
こういうのは僕からしたら中々イギリス人っぽいと思います。毎日の順序を重視した上で世の中がどれだけ滑稽だかを意識している。ジョンが愛していたMonty PythonとかThe Goon ShowとかSpike Milliganとかのに通用した感覚で。
こういう要素を切ない感じの音楽伴奏に合わして絶妙な迫力が出ると思います。
でこういう要素を考えてこの曲を録音したときオーケストラに正装してもらって変な仮面を付けてもらって弾いてもらった流れも納得出来るようになると思います。
ビートルズと禅
少し余談になるけど、日本の禅宗にも少し似ている価値観はある気がします。例えば公安とかに訳わからない言葉が出てこないですか。弟子が質問して禅僧が全く関係ない発言したりするとか。
更に余談するとオノヨウコの作品もこのような美意識の影響を多少受けているじゃないかと思います。それもあってジョンとようこお互い好きになったところはないかと思います。
まあ、こういうのは僕の勝手な想像にすぎないですが。
A day in the life 意味
I read the news today, oh boy
今日、 ニュースを読んだよ、まじで(アチャー)
これは新聞記事から来ています。Tara Browneという若い方が死んだ話です。二十代前半ですごいお金持ちの偉い家系から来ています。ギネス社というかスタウトの会社ご存知ですか。結構有名な会社なんですけどターラーさんはそういうビールを作っている会社の息子だったんですね。
かれは二十五歳になったらすごい大金をもらうはずだったらしいです。
けっこう遊びが好きな若い人で、実はジョンと知り合いだったんですね。
ということは全然知らない人が新聞で事故で死んだというより実際ジョンが知ってるですね。
Oh Boyは「マジ」でとか「あっちゃ」とかの意味です。
About a lucky man who made the grade
出世した、幸運な男の記事さ
And though the news was rather sad
やや悲しい記事だったけれど
Well, I just had to laugh
僕には笑わずにはいられなかったよ
I saw the photograph
その写真見てさ
何の写真かはわからないですけどたぶん、その事故でめちゃくちゃになった車の写真でしょうね。
じゃあ、なんでそんな悲惨な写真を見て笑ってしまったしょうね。
ちょっと調べたらジョンはなぜかそういう悲惨なことがあったときによく笑う傾向があったんですね。
たとえば自分のおばあさん、大事にしてたおばあさん、が死んだときに笑ってしまったらしいですね。もともとビートルズでベースを弾いていたバンドメイトが死んだときも笑ってしまったようです。
ジョンはそういうすごい悲しいことがあったときに笑ってしまう傾向があったらしいですね。
He blew his mind out in a car
彼は自分の脳を破裂させてしまった
いろんな約を見てきたんですけどこの1行は皆すごい苦労してるんですね。
これだけいろんな約はありました:
- ”そいつは車の中で正気を失って
- その男、車の中で拳銃自殺したんだって
- 車の中で彼は自分の気持ちを話していたらしいんだ
- そいつ車の中でラリって逝っちゃってて
- そいつは<クスリで>運転中に意識がブッ飛んで
- なんや運転中に頭イッてもうたみたいなんやけど”
全く違う訳し方をしてるんですね。僕は「破裂させてしまった」というふうにとらえるのが妥当だと思います。
前後関係を見るとこれは車の事故ですね。西洋文化ではマインドと脳は繋がっているから脳を物理的的に壊してしまった、破裂してしまったと言ってると僕は思います。
“Blow your mind”に「すごいことを見てマインドはじけた」という意味もありますね。あるいは麻薬とか、何かを吸って、麻薬を飲んで、マインドがおかしくなったという捉え方もありえる。
いろんなそういうニュアンスもありますが、ここでいうHe blew his mind out in a carはどっちかというと彼の脳に起こってしまった現象を表しています。
He didn’t notice that the lights had changed
信号が変わったことに気付かなかった
信号を無視してしまって事故になって死んでしまいました。
A crowd of people stood and stared
群衆は立ち尽くし見つめていた
事故を囲んで人が見てるんですね。
この曲の中に誰かが何かを「見てる」というのがよく出てきます。ひとつのテーマになってます。あとから戦争の話も出てくるけどそれを「見たくない」というのが出てくるから段落と段落が平行になっていますね。
They’d seen his face before
皆、彼の顔に見覚えはあったけど
Nobody was really sure if he was from the House of Lords
誰も彼が上院議員だったかどうかはっきりと覚えていなかった
「上院議員」という単語はあんまり歌詞に出てこないんですね。
いろんな人がその事故をじっと見て「この顔を見たこときがする」「どこか新聞で見たかな。テレビで見たかな」と考えている。
「どこかの偉い人ではなかっだっけ」と。
人が死んだら、そのはどれだけ偉かったかだれもそこまできにしないですね。生きている間皆あんなに偉くなろうとしても。
そのような現象を上手に描いている段落です。
I saw a film today, oh boy
今日、映画を観たんだ、まじで(アチャー)
The English Army had just won the war
英国軍が戦争に勝ったところだった
1966年、ジョンが戦争の映画を作っていました。この曲ができたのが1967年の1月だから、その映画の話じゃないかと思われます。
A crowd of people turned away
群衆が目をそらしたけど
But I just had to look
僕は見ずにいられなかった
Having read the book
原作読んでたからね
先に出てきた「事故」と違って、皆戦争で勝利して帰って来た戦士たちはだれもみたくないようです。
I’d love to turn you on
君を目覚めさせたいよ
みんなこの1行を訳すのにまた苦労しているんですね。これはどういう意味かはっきりはしてないんですね。
いくつかの人の訳をあげてみるとこういうのはあります:
- 僕は あなたを 起動したいんです
- きみのことを喜ばせてあげたいな
- 君とキメてみたいよ
- 僕は君を刺激したいのさ
- 君を目覚めさせたいよ
“Turn you on”という表現は今になって性的な意味でよく使われるですね。「君をセックスしたいようにさせたい」と言う意味でとか。
でもこの歌詞で言ってるのが違うと思うんです。
当時はTimothy Learyの有名な発言が流行っていました。”Turn on, Tune in, Drop out”という言葉。
Timothy Learyが LSD などの麻薬を普及させようとしていました。。社会変化をおこそうとしていました。みんな普通の社会の道をそのまま歩んむんじゃなくてもっと麻薬を飲んだときに見える世界みたいな世界を追いかけましょうという発想だったんですね。自分の意識をオンにしてくれと。もっといろんなこと見えるようになってほしいと。”Tune in”っていう人テレビとかラジオとかテレビ局受信できるようにチューニングするという意味です。
“Drop out”ていうのは普通の社会をやめましょう。もっと違う生き方を見つけましょうという。
不思議なことにこの1行の影響で BBC がこの曲を放送禁止にしてたんですね。何年間 BBC に流してはいけなかった。なぜかというとそういうドラッグカルチャーと繋がってるのです。麻薬を試しましょうというメッセージは発信してはいけないから。
この辺から、歌詞を描くように、音楽もおかしくなっていきます。
Woke up, fell out of bed
目が覚めて、ベッドから転がり落ちて
Dragged a comb across my head
髪にくしを通して
Found my way downstairs and drank a cup
よろよろ階段を降りて カップ一杯飲み
And looking up, I noticed I was late
見上げると、遅刻していることに気づく
Found my coat and grabbed my hat
コートを見つけて、帽子をつかみ
Made the bus in seconds flat
数秒でバスに乗りこんで
Found my way upstairs and had a smoke
よろよろ2階に上がって 一服した
And somebody spoke and I went into a dream
誰かが喋りだして そして僕は夢の中へ
この合間のところで面白く日常的な風景を描いています。
I read the news today, oh boy
今日、 ニュースを読んだよ、まじで(アチャー)
Four thousand holes in Blackburn, Lancashire
ランカシャー州のブラックバーンに4000個の穴
And though the holes were rather small
その穴はやや小さかったのに
They had to count them all
彼らは全部の穴を数えないといけなかった
Now they know how many holes it takes to fill the Albert Hall
それで彼らはアルバートホールを埋めるには、どれだけの穴が必要か、が分かった
これは道路に穴が開いている新聞記事からきています。「ランカシャー州のブラックバーンに4000個の穴」があるということはそれを数えないといけなかった人がいたということですね。ジョンはそれ不思議、滑稽に思ったでしょうね。
「それで彼らはアルバートホールを埋めるには、どれだけの穴が必要か、が分かった」は概念として面白いですね。穴ってものがないものですね。ものがないものを使って何かを埋める、でかいホールを埋める概念。もうこれでほど無意味なことないでしょう。
I’d love to turn you on
君を目覚めさせたいよ
皆に目覚めて欲しいという考えで終わってるんですね。
うーん、結局この歌の底にある深いメッセージはそれじゃないですかね。